注文住宅を新築しようとする場合には、やはり地震の際の耐震性能についても真剣に検討をしたいものといえます。我が国はよく地震列島などとよばれることがありますが、実際に阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などといった、多数の死傷者を出すような大規模な地震が頻発しており、東海地震や南海トラフ地震、首都直下型地震なども警戒が必要であるとされています。
現在の建築基準法では、こうした大地震の経験を踏まえて、地震の揺れにも十分に強い住宅の構造によることがもとめられるようになっています。たとえば、最近の注文住宅の新築であれば、柱を筋交いで補強して横揺れに強い構造にしたり、柱などが組み合わされる部分には金属の金具を入れて強固につなぎとめたり、地震の際の火災に配慮した不燃の材料を用いて壁面などを施工したりといった工夫が行われているはずです。
もっとも、こうした工夫を凝らしたとしても、それだけで安心することはできません。大地震の第一波は耐えたとしても、その後に頻発する余震の揺れによって、しだいにほころびがあらわれて、ついには倒壊してしまうようなこともないとも限らないからです。2階建ての住宅と平屋住宅のどちらが耐震性が高いかというのは一概にいえない部分がありますが、平屋住宅にはいくつか耐震性についてのメリットがあることはたしかです。
平屋住宅は室内の動線が単純であるため、いざというときに避難がしやすいというのがまず挙げられます。また、2階建ての住宅であれば、1階の部分は2階部分そのものと屋根の両方を柱で支える構造となっているはずですが、これはかなりの重量になることは想像に難くはありません。平屋住宅であれば、屋根の重量だけを支えればよいことになるため、地震で倒壊してしまうおそれがそれだけ少なくなるということができます。こうしたことから、注文住宅を新築する際には、以前であればデザイン性に劣る、古いイメージがあるなどといった理由で敬遠されがちであった平屋住宅という選択肢が、ふたたび脚光を浴びるようになったのです。
ただし、平屋住宅であればすべてが耐震性が高いと考えるのは早計であり、新築された時期や構造などについても注意をしておく必要はあります。最近の新築であれば問題はないはずですが、古い時代に建てられた瓦屋根の農家建築などの場合には、瓦の重さで逆に大地震の際に倒壊してしまう事例がみられていますので、屋根材を軽量のものに葺き替えるなどのリフォームが必要となってくることがあります。