二世帯住宅と耐震

最近では注文住宅の新築にあたっても、二世帯住宅というプランを選択する人たちがあらわれはじめています。東日本大震災のような大規模な自然災害の発生によって、人々のきずなのたいせつさが見直された結果として、これまでのような核家族にかたよった考え方から、より世代間のつながりを重視する方向へと、人々の意識が変化したことのあらわれともいえるでしょう。
注文住宅として二世帯住宅を新築する場合には、既存のハウスメーカーが提示しているような二世帯住宅のプランとは違って、土地の形状や面積、二つの世帯の親密度、建物の外観や内装に対するこだわりといったものに応じて、さまざまなプランを自由に選択することが可能であるため、メリットはことに大きいといえるでしょう。
こうした二世帯住宅ではさまざまな間取りが考えられますが、たとえば、建物そのものは一緒であるとしても、親世帯と子世帯がそれぞれ独立して生活を営むことができるようにしたものがあります。この場合、平屋住宅で横長のレイアウトにして、左右それぞれに親世帯、子世帯が入居するということもありますが、十分な面積の土地がなければ実現できないプランです。そこで、一般的には複数の階を設けて、特定の階はどちらかの世帯で独占的に使えるようにしていることがほとんどであるといえます。耐震性については、階が多ければそれだけ重量がかかりますので、柱の配置や基礎の施工には十分に配慮すべきといえるでしょう。また、親世帯は高齢のために動作がにぶくなり、逃げ遅れてしまう可能性があることを考慮して、できるだけ移動の少ない低層階に配置するといったレイアウトにしておくことも、新築の段階で求められるといえます。
いっぽう、玄関、キッチン、バスルームといった水回りを中心に、部分的に設備を共有するタイプの二世帯住宅であれば、平屋でも十分に敷地内におさまるものを建築することができます。この場合、建物の重心が低いので、地震にあったとしても、相対的に揺れが小さくてすみますが、柱に筋交いを入れて補強をしたり、外壁のパネルとして耐震性のあるものを採用するなどの、さらに耐震性を高める対策をすれば、いざというときにも安心して暮らすことができます。また、平屋住宅といえば伝統的な日本瓦というのが一般的なイメージですが、軽量で丈夫な屋根材を選択することによって、地震の際の安全性を高めることができるはずですので、新築にあたり検討してみるとよいでしょう。